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「腕時計は自己表現だ」カルバン・クライン ウォッチの新たな変革期

1997年のスタート以来、クリーンかつ革新的なデザインのモデルを発信し、腕時計業界において独自の地位を築いてきたカルバン・クライン ウォッチ。

ブランドを率いるカルロ・ジョルダネッティ氏は「新たな変革が始まっています」と語る。

カルバン・クライン ウォッチとは?
1968年にNYでスタートした米ファッションブランド、カルバン・クライン。そのウォッチコレクションとして、スイス最大の時計グループ企業であるスウォッチ グループとともに、’97年に設立されたブランドがカルバン・クライン ウォッチである。それまでの腕時計にはなかったエッジィなデザインと信頼性の高いETA社製ムーブメントを組み合わせた、革新的なプロダクトを製作。アクセサリー時計におけるパイオニアとして、今もシーンを牽引し続けている。

「腕時計は身体の一部であり、自分自身の表現だと思う」

プレジデント カルロ・ジョルダネッティ氏。イタリア生まれ。カルバン・クライン ウォッチの設立以前、’87年にスウォッチ グループでのキャリアをスタート。アートプロジェクトから新製品開発まで、さまざまな業務を経験する。2007年にモンブランのクリエイティブ・ディレクターに就任し、業績向上に大きく貢献。’12年からはスウォッチ グループ全体のクリエイティブ・ディレクターを務め、ブランド戦略やPR、ストアデザインなどを担当している。趣味はギャラリー巡り、オペラ鑑賞、料理。
クリーンで、ミニマルで、タイムレス。都会で身に着けるのにふさわしい腕時計。それが、我々の抱くカルバン・クライン ウォッチのイメージだ。

しかし今、ブランドは変革期を迎えているという。製品デザインやコンセプトが、これまでとまったく変わってしまうのだろうか?

去る3月にスイスで開催されたバーゼルフェアで、プレジデントのカルロ・ジョルダネッティ氏に話を聞いた。

「今年、大もとであるカルバン・クラインのロゴデザインが変わりました。これまでは大文字と小文字の組み合わせでしたが、すべて大文字での表記になったのです。それに伴い、我々も大胆に変わっていきます。最も大きな変更点となるのは“色”です」。

以前はブラック、ホワイト、シルバーといった、最小限の色使いが特徴であり、そこから生まれる洗練こそ、このブランドのエッセンスであった。

「そのとおり。でもこれからはブルーやヴィンテージオレンジといった明るい色も使って、より若々しくスポーティな雰囲気の商品を作っていきます。その代表となるのが“カルバン・クライン アチーブ”。1960〜’70年代前半のテイストを、色使いと素材使いで表現したラインです」。

“カルバン・クライン アチーブ”ラインは、アメリカらしさとヴィンテージ感を備えた腕時計である。そもそもこのような変革の流れが起きた理由はどこにあるのだろうか。

ラフ・シモンズ(※1)がカルバン・クラインのチーフクリエイティブオフィサーに就任し、2017-18年秋冬のデビューコレクションを終えたこの時季。彼の意図が反映された腕時計が、製品として消費者の目に留まり始めたということか。

「確かにこの“アチーブ”は、ラフ・シモンズのリクエストによって生まれたライン。これ以外のすべての商品も、ラフ・シモンズの承認を受けています。彼の監修によって、今まで以上に若い世代のカスタマーにアピールしたいと考えているのです」。

若いときからこのブランドを知る我々としては、生まれ変わる部分への期待が半分、一方で培ってきたアイデンティティが崩れることはないだろうかという不安が半分、というのが正直なところではある。

「変革と同時に、変えてはいけないこともあります。それはブランドが培ってきた哲学。’97年のスタート以来、私たちはタイムレスなファッションピースとしての腕時計を生み出してきました。タイムレスとファッション。相反する要素を融合させ、プロダクトとして具現化してきたモノ作りの哲学は、変えてはいけないと思っています」。

ブランドの哲学にのっとって、変革を恐れず新たな腕時計作りに取り組む。そのチャレンジングスピリットを象徴するプロダクトは、挑戦を忘れかけた我々に大きな刺激を与えてくれる。そう、新たなカルバン・クライン ウォッチは、我々にこそ必要な時計なのだ。

「若さというのはマインドの問題。パスポートの年齢と心の年齢は違いますからね。腕時計は小さなアイテムですが、パーソナリティを映し出す鏡でもある。身体の一部であり、自分自身の表現だと思う。そう、腕時計ひとつで若々しさも表現できるのです」。


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